πが無理数であることの証明

ネイピア数(自然対数の底) e に続いて、今度は円周率 \pi が無理数であることの証明。Wikipediaによると、初めて厳密に証明したのはルジャンドルで、1794年のことだった。初等的な微分積分のみを用いた証明はイヴァン・ニーベンが1947年に与えている。e よりずっと難しい。

πが無理数であることの証明

ニーベンの証明をこの動画で観て自分のノートにまとめてみた。

ここでは概要だけ書く。

背理法で証明する。\pi は有理数であると仮定し、\displaystyle \pi = \frac{a}{b} (a, b は自然数)とおく。
自然数 n に対して以下を定義する。

\displaystyle f_n(x) = \frac{x^n (a-bx)^n}{n!}
\displaystyle I_n = \int_0^\pi f_n(x)\sin xdx

すると、

  1. I_n > 0 かつ \displaystyle \lim_{n \to \infty} I_n = 0 となるので、十分大きな n に対して 0 < I_n < 1
  2. 任意の n に対して I_n は整数

がともに成り立つことが示せる。これは矛盾。

したがって、\pi が有理数であるという仮定が誤りであり、無理数であることが示される。

これも、\pi が有理数であると仮定してやってとにかく何か矛盾が見つかればいいという戦略。前に書いた、eとその有理数乗(0乗を除く)が無理数であることの証明と、アプローチはかなり似ている。相手が \pi だけに、積分の中身には e の累乗の代わりに \sin が出てきている。

証明の詳細を振り返ってみると、上記の1.の方は f_n(x) の分母に n の階乗があるから、n \to \infty のときの I_n の極限が0になることを示すのはそう難しくない。しかし2.の方はかなり大変である。

2.を証明するには、まず

\displaystyle F_n(x) = f_n(x) - f_n^{(2)}(x) + f_n^{(4)}(x) - \cdots + (-1)^n f_n^{(2n)}(x)

というのを定義する。すると I_n = F_n(0) + F_n(\pi) であることが示せて、おまけに F_n(0)F_n(\pi) はともに整数となる。よって2.が成り立つという手順。しかしここの導出がかなり長かった。

ちなみに、\pi は無理数なので実際には \displaystyle \pi = \frac{a}{b} となる自然数 a, b は存在しないわけだが、自然数でない a > 0, b > 0 を使って \displaystyle \pi = \frac{a}{b} とおく(例: a = 2\pi, b = 2)と、1.は成り立つが2.は成り立たない。

\pi が無理数だからといって \pi^2\pi^3 などが無理数であるとは言えない。しかし現在では \pi の有理数乗(0乗を除く)はすべて無理数であることが証明されている。

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