素数の逆数和 その2

素数の逆数和が発散することをレオンハルト・オイラーが最初に示した時の証明を調べてみた。エルデシュの証明と同じく、これで素数が無限に存在することも言える。「素数が無限に存在することの証明(4)」で書いたオイラーの証明と同じアプローチを使っている。

証明
素数 2, 3, 5, \ldotsp_1, p_2, p_3, \ldots と番号づける。各素数 p_i に対し、等比数列の和の公式より

\displaystyle\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{p_i^k}} = \frac{1}{1 - \frac{1}{p_i}}\quad(*1)

である。右辺をすべての素数について掛け合わせた値

\displaystyle M = \prod_{p_i} {\frac{1}{1 - \frac{1}{p_i}}} = \frac{1}{1 - \frac{1}{2}} \cdot \frac{1}{1 - \frac{1}{3}} \cdot \frac{1}{1 - \frac{1}{5}} \cdots \quad(*2)

を考える。これを(*1)の左辺の等比数列の和の方を使って表すと

\displaystyle M = \prod_{i} {\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{p_i^k}}}
\displaystyle = \Bigl(1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} + \cdots\Bigr)\Bigl(1 + \frac{1}{3} + \frac{1}{3^2} + \cdots\Bigr)\Bigl(1 + \frac{1}{5} + \frac{1}{5^2} + \cdots\Bigr) \ldots

これを展開すると、各項は \displaystyle \frac{1}{p_1}, \frac{1}{p_2}, \ldots の0乗以上を掛け合わせたものとなり、そのすべての組み合わせが現れる。すなわち

\displaystyle M = \sum_{k_i} \frac{1}{\prod_{i} p_i^k_i}}

ただしこれは、0以上の整数値をとる数列 k_i \, (i \ge 0) のすべての組み合わせにわたって和をとることを意味する。

任意の自然数は素数の積として表せる(証明は「素数が無限に存在することの証明(4)」参照。ここで1は素数の0乗の積と見なす)ことから、任意の自然数は \displaystyle \prod_{i} p_i^k_i} (各 k_i は0以上の整数)と表せる。したがって、任意の自然数 m について、上記の M の総和表現の中に \displaystyle \frac{1}{m} が現れる。よって

\displaystyle M \ge \sum_{k=1}^\infty \frac{1}{k} = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} +\frac{1}{4} + \cdots\quad(*3)

次に、

\displaystyle 0 < x \le \frac{1}{2} のとき \displaystyle \frac{1}{1 - x} < 10^x\quad(*4)

である(証明は後述)。したがって(*2)の各項において、\displaystyle 0 < \frac{1}{p_i} \le \frac{1}{2} より

\displaystyle \frac{1}{1 -\frac{1}{p_i}} < 10^{\frac{1}{p_i}}

これをすべての p_i について掛け合わせると、(*2)より

\displaystyle M = \prod_{p_i} {\frac{1}{1 - \frac{1}{p_i}}} < 10^{\frac{1}{p_1}+\frac{1}{p_2}+\frac{1}{p_3}+\cdots}

(*3)より M は調和級数以上の値を持つので、無限大に発散する(調和級数の発散の証明は「素数が無限に存在することの証明(4)」参照)。したがって \displaystyle 10^{\frac{1}{p_1}+\frac{1}{p_2}+\frac{1}{p_3}+\cdots} も無限大に発散する。これは、その指数である素数の逆数和が無限大に発散することを意味する。(証明終)

導入部分は素数が無限に存在することの証明と同じなのだが、(*4)に着目して一気に逆数和の発散を示してしまう。

(*4)の証明

e^x のマクローリン展開

\displaystyle e^x = \sum_{n=0}^\infty \frac{x^n}{n!} = 1 + \frac{x}{1!} + \frac{x^2}{2!} + \cdots

より、x > 0 において

\displaystyle e^x > 1 + x

である。x > 0 なら 2x > 0 であるから、x2x を代入して、x >0 のとき

\displaystyle e^{2x} > 1 + 2x

\displaystyle 0 < x \le \frac{1}{2} のとき、1 - x > 0 であるから、上記の両辺に 1 -x を掛けて

\displaystyle e^{2x} (1 - x) > (1 + 2x)(1 - x) = 1 + x(1 - 2x) \ge 1

両辺を 1 - x で割ると

\displaystyle e^{2x} > \frac{1}{1 - x} つまり \displaystyle {(e^2)}^x > \frac{1}{1 - x}

10 > e^2 (= 7.389\ldots) なので

\displaystyle 10^{x} > \frac{1}{1 - x}

となる。(証明終)

これを見ると、本題の証明の方で 10 の代わりに e^2 を使ってもよいことがわかる。

はてなブックマーク - 素数の逆数和 その2
[`evernote` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。