数学の部屋

大阪大学大学院情報科学研究科情報基礎数学専攻で数学を研究しています。それに関連するものを置いていきます。

論文

dessin d’enfant関連

Belyiの定理という驚異的な定理があります。この事実を基盤として、代数体上で定義されるコンパクトリーマン面に対し、代数体上の有理関数$\beta\colon X \to \mathbb{P}_{\mathbb{C}}^1$が存在して、β\betaの臨界値(β=c\beta=cとなる$X$の点が複数存在する$c \in \mathbb{P}_{\mathbb{C}}^1$)が3点0,1,∞0, 1, \inftyの中におさまるようにできます。$\beta$をBelyi関数、$(X, \beta)$をBelyi対といいます。
Belyi対に対してdessin d’enfant(フランス語で「子供の絵」の意)と呼ばれる連結な二部グラフを描くことができます。dessin d’enfantは$X$と同じ種数を持つ向きづけ可能な閉曲面(球面または(多孔)トーラス)上に描き、$\beta^{-1}(0)$が黒頂点、$\beta^{-1}(1)$が白頂点、$\beta^{-1}(\infty)$が面に対応します。各面は円板と同相です。
このdessin d’enfantの様々な性質および代数曲線との関係を研究しています。

  • Regularity and Automorphism Groups of Dessins d’Enfants with Uniform Passports (Tatsuya Ohnishi, 2026.2)
    最新版 arXiv(Abstract PDF HTML) 修士論文
    一様なパスポートを持つdessin d’enfant、すなわち黒頂点・白頂点・面の分岐数がそれぞれ一定なものについて、正則性と自己同型群がどのように分布するか、それらが種数によってどのように変化するかを調べた。一様なデッサンは高い対称性を持つが必ずしも正則であるとは限らないというところに着目した。主な成果は、以下を示したことである。
    – $[a^{p}, b^{q}, n]$の形のパスポート(木の場合)は、$\gcd(p,q)=1$のとき、かつそのときに限り正則なデッサンを持つ
    – $[n, b^{q}, n]$の形の種数2以上のパスポートは自己同型群が自明なデッサンを持つ
    加えて、種数0, 1の一様なパスポートについてのいくつかの命題を証明した。さらに、自己同型群を調べるために有用な、対称群の元の数え上げに関する2つの定理の証明を行った。
    ※修士論文はarXivで公開した論文(Ver. 1)と同じ主張を述べたもので、1, 2章の基本的な説明を少し詳しく書いています。3章以降はまったく同じ内容です。
  • Automorphism Groups of Uniform Dessins d’Enfants of Genus at Least Two (Tatsuya Ohnishi, 2026.6)
    最新版 arXiv(Abstract PDF HTML)
    前論文の結果に加え、$[b^q, b^q, n] (q \ge 2)$の形の種数2以上のパスポートは自己同型群が自明なデッサンを持つことを示した。
    さらに、前論文で予想したことの反例として、種数2で自明な自己同型群を持つデッサンを持たない一様なパスポートの存在と、逆に種数2で自明な自己同型群を持つデッサンのみを持つ一様なパスポートの存在を示した。
    さらに、前論文で示した$[n, b^{q}, n]$型に関する定理について、本論文で用いた中心群の数え上げ手法を使った別証明を示した。
  • Uniform Unicellular Dessins d’Enfants with Trivial Automorphism Groups (Tatsuya Ohnishi, 2026.9)
    arXiv(Abstract PDF HTML)
    前2論文の結果に加え、$[a^p, b^q, n] (2 \le p < q)$の形の種数2以上のパスポートは自己同型群が自明なデッサンを持つことを示した。これにより、種数2以上で面が1つの一様なパスポートおよびそれらの並べ替えはすべて自己同型群が自明なデッサンを持つことが示された。

発表

受賞